近年、医療費の抑制が課題となっている。超高齢社会を迎え、医療費が増大しているが、自己負担分以外は保険料ないし税金をもって賄っているため、医療財政が破綻しかねないと言われている。

この対策の一つとして2017年1月に導入されたのが、「セルフ・メディケーション」と呼ばれるものである。これは、薬局で売られている一定の市販薬を購入すれば、その分の税額控除を認める制度である。
この制度の導入目的は、市販薬で治る程度の病気ならなるべく医者にかからず、自己負担で薬品を購入し、医療費増大を抑制しようというものである。この目的は、「セルフ・メディケーション」賛成派の有力な根拠になっていると考えられる。
「セルフ・メディケーション」反対派の意見としては、次の3点が考えられる。
①病気の発症後速やかに医者にかかることが抑制され、重大な病気の早期発見ができなくなる恐れがある。
②市販薬の効能は処方薬に比べて劣るのではないか。
③市販薬は比較的、値段が高く、特に低所得者層にとって大きな負担となってしまう。
筆者の立場は、反対派の立場からこの記事を書いている。このことを明示したうえで以下に、反対派の立場をとる理由を書いていく。
この制度に反対派の立場をとる理由は、主に上にあげた①の理由からである。そもそも「セルフ・メディケーション」制度は、患者の症状が市販薬で治る程度の病気なのかどうかを患者自身が判断するという前提がある。そのため、患者の考える病気とは全く別の病気である場合や、他の病気と併発していることを見落としてしまっている場合などが考えられる。
これらの場合において、いずれも速やかに医者にかからなければ、たとえ最初は軽症であっても重症化する可能性が高くなってしまう。
確かに、この制度には医療費の抑制という意義がある。医療費が増大し続けると、医療財政が破綻しかねない。
しかし、私は「セルフ・メディケーション」制度の他に、医療費を抑制する方法があるのではないかと考える。その方法としては、現在自己負担分としている3割という割合を一律で上げる、あるいは病気別、診療内容別に割合を設定するといった方法が考えられる。
以上に簡単に述べてきたように、増大する医療費の問題に対処しなければならないが、だからといって患者の命に関わる問題を引き起こしかねない制度には積極的には賛成できず、他の方法で対処すべきであると考える。
